歯の神経にまで達した重度のむし歯は、そのまま放っておくと抜歯をせざるを得なくなってしまいます。
しかし、できるだけ歯を残さなければ、お口全体の健康を損ねてしまうことになります。
そこで、歯を残すために行う治療が根管治療です。

根管とは、歯の神経や血管が入っている細い管のことをいいます。
この中から、汚染された神経や血管のみを除去し、内部を洗浄・消毒してから隙間なく薬剤を詰めて密封する治療が根管治療です。
根管治療が終わったら、土台を立てて被せ物などを装着し、歯の機能を回復します。
根管はとても細かったり枝分かれしていたりと複雑な形状をしています。根管治療では根管内の細菌をすべて除去しなければなりません。取り残してしまうと再発してしまうからです。とても細かい部分の治療を行わなければならない上に、高精度な治療が求められます。

前歯の根管治療の場合は2～3回、奥歯の根管治療の場合は3～4回の治療が必要になります。より複雑な形状をしている場合には、さらに治療回数がかかる場合もあります。その後で土台を立てて被せ物を装着するので、少なくともさらにあと3回は治療に来ていただかなければなりません。そのため根管治療を行う際には、歯科医師だけでなく、患者さまも根気が必要です。
根管治療は抜歯を回避するための重要な治療のため、もし治療を中断してしまうと歯を失うリスクが高まります。1本の歯を治すのに2ヶ月以上の時間を要する計算ですが、被せ物の装着が完了するまでしっかりと通ってください。お口の健康を守るために、治療を中断することなく、しっかりと最後まで治療を終わらせましょう。

当院では、保険の適用内での治療をご希望される患者さまには、日本の一般的な保険治療水準に応じた根管治療を行います。
一方、治りが良くない、難症例であると判断した場合。精密な根管治療をご希望される患者さまには、世界水準での根管治療を行う歯内療法専門医への紹介を行っています。

根管治療の最大の目的は、虫歯菌に汚染された根管内部の神経や血管、歯質を取り除き、細菌を完全に除去することです。歯の周りが汚れたまま治療を始めてしまうとどうなるでしょうか？
歯垢（プラーク）と呼ばれる汚れの塊の1mg中には、約10億もの細菌が存在しています。もしも根管治療中に、治療に使用する器具がほんの一瞬でも歯垢に付着してしまうと、治療器具に付着した細菌を根管内に入れてしまうことになります。こうなると根管治療は失敗に終わる可能性が高まります。これは、汚い水で汚れたものを洗うようなものです。
そのため、当院で行う根管治療では、まずは徹底的歯や歯の周りを掃除する歯面清掃を行い、しっかり消毒を行ってから治療を始めます。

拡大鏡（歯科用ルーペ）を使うことで、肉眼の6倍程度にまで視野を拡大することができるため、より精密で正確な治療を行うことができます。
根管内部や先端の方までしっかりと確認しながら治療を行うことが出来るため、これまでの歯科医師の経験や勘に頼った手探りの治療ではなく、確実に目で見て診断・治療を行うことができ、患者さまにより精密な治療を提供することが可能です。